大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和52年(行ケ)166号 判決

以上の争いのない本件審決における判断の誤りは、その結論に影響を及ぼすものであるから、本件審決は違法として取消を免れない。よつて原告の本訴請求は正当であるから認容する。

〔編註その一〕 本願の発明の要旨は左のとおりである。

濃度一〇%以上の高濃度澱粉乳を一三〇℃~一七〇℃の高温でD・E・五・〇以下の低分解率に糊化して液化分散し、この澱粉液化液を七〇℃以下に急冷して老化しない内にβ―アミラーゼ及びラクトバチラスの生産するα―一・六-グルコシダーゼの何れか一方或は双方を添加して澱粉液化液の一部を分解して粘度を低下させた後、更に澱粉液化液の温度を酸素反応の最適温度にまで下げ、必要によりβ―アミラーゼ及びα―一・六グルコシダーゼの何れか一方或は双方を更に添加して糖化せしめることを特徴とした澱粉よりマルトースを製造する方法

〔編註その二〕 本件における請求原因は左のとおりである。

本願発明の要旨は、審決で認定されているとおりである。しかし審決は、本願発明の要旨の技術内容の解釈を誤り、かつ本願発明による作用効果を誤認し、これを前提として本願発明の進歩性を否定した判断の誤りがあるから取消されなければならない。

即ち、本願発明においては、α―一・六―グルコシダーゼ、β―アミラーゼの双方を二段階で併用することを必須の構成要件とするものである。したがつて、これには、α―一・六―グルコシダーゼ、β―アミラーゼのいずれか一方のみを単用する方法は含まれていない。そして、本願発明によれば、α―一・六-グルコシダーゼ、β―アミラーゼのいずれか一方のみを単用する方法に比べ、澱粉からマルトースを工業的に生産できる点において、格段に優れているものである。

しかるに審決は、本願発明の要旨の技術内容として、α―一・六―グルコシダーゼ、β―アミラーゼのいずれか一方のみを単用する方法も含まれていると誤認し、又、本願発明の方法による作用効果が右のα―一・六―グルコシダーゼ、β―アミラーゼのいずれか一方のみを単用する場合に比し、格段に優れているのに格別差異がないものと誤認している。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!